毎年のように集中豪雨やゲリラ豪雨によって、浸水の被害が起きています。「自分の家は大丈夫」とは言い切れないので、もしも災害に遭ったらどうするかを考えて、対策を練っておくことが大切です。今回は、集中豪雨などでの浸水対策について解説します。
浸水被害の予防法
浸水被害に遭わないようにするためにはどのような対策をすればいいのでしょうか?
以下で、事前の予防についてご説明します。
・駐車場や玄関への浸水を防ぐ工夫
浸水が起きたとき、真っ先に被害に遭いやすいのは、地下や半地下の駐車場や玄関です。もし道路に水が溢れてきたら、どのような経路で水が流れ込んで来るか、考えてみてください。その上で、水の侵入を防ぐための工作物が作れないか、止水板を設置して水の流れを変えられないかといったことを検討するようにしましょう。
・土のう、水のうを準備する
袋の中に土砂を詰めた「土のう」を並べて、浸水しそうな箇所をガードすることも有効です。土のうは市区町村や地区の土木管理事務所で、無料で配布していることがあるので問い合わせてみましょう。急な雨が降り出してから用意するのでは不十分なので事前に必要な分を確保しておくべきです。
また土のうが手に入らない、土が近くになくて土のうが作れないなどの場合は、ゴミ袋を2枚重ねにして水を入れて「水のう」を作りましょう。これを複数のダンボールの箱に入れて並べ、防水シートで包むと手作りの止水板にもなります。
・排水設備の定期点検をする
半地下や地下の建物の排水設備は、定期的に点検するようにしてください。地下室や1階のトイレ、浴室、洗濯機なども注意が必要です。また、集中豪雨やゲリラ豪雨のときに、汚水や泥水が逆流する「排水溝逆流浸水」が起きることがあります。その際は、排水口やトイレの中を、水のうで塞くようにすると、一定の効果が期待できるでしょう。
浸水被害に遭ってしまった場合の対処法
浸水被害に遭ったら、まずは市区町村や地域の土木管理事務所に連絡をとって、排水作業が可能かどうか問い合わせてみましょう。水中ポンプなどを使って、排水作業を行ってくれることがあります。
災害によって家屋などが破損した場合には、市区町村の職員が被害状況を確認した上で、「罹災証明書」を発行してくれます。この罹災証明書は、保険金の請求や各種公的融資、救済措置などの手続きの際に、提出しなければいけないことがあります。こちらもまず問い合わせてみることが必要です。
また、浸水や排水溝逆流浸水によって汚れた家屋は、洗剤などを使ってよく洗浄し、汚れを十分に除去して、乾燥させることが必要です。消毒が必要な場合は保健所に問い合わせれば、必要に応じて対処してくれる場合があります。
避難時の注意点について
浸水で避難を余儀なくされることもあります。いざというときに備えて、普段から避難場所は確認しておきましょう。水害が予想される地域では、洪水ハザードマップなどを確認して、事前に避難所へのルートも考えておくことが必要です。
水害や土砂災害の恐れがある場合には、テレビやラジオ、インターネット、地域の防災スピーカーによる防災情報に注意して、避難準備情報、避難勧告(拘束力:中)、避難指示(拘束力:強)などのアナウンスに従ってください。
水害時に車で避難すると、途中で動かなくなったり、水圧で扉が開かなくなったりする恐れがあるため危険です。特別な事情がない限りは、徒歩で避難するようにしましょう。
また、避難時は動きやすい服装で、集団でいることを心掛けてください。貴重品、衣類、非常用食料、水、懐中電灯、ラジオなどは早めに準備しておき、避難時の荷物は最小限にします。道路を歩くときは、下水道のマンホールや側溝などに落ちることがあるので注意してください。土砂崩れにも警戒が必要です。
また、急激な浸水が起きている状況では、避難所に逃げるよりも自宅の2階以上や付近のビルの上の階に避難する方が安全なこともあります。周辺の状況によって臨機応変な判断をしましょう。
浸水や水害は、起こるかもしれないという想定をして、事前の準備をしておくことが大切です。貴重なもの、重要な書類などはいつでも持ち出せるようにしておくか、避難時に持って行くことが困難と思われる場合には、金庫に保管しておくようにしましょう。金庫には耐火性能やセキュリティ性能のほかに、耐水、防水性能を備えた製品もあります。備えあれば憂いなしなので、日頃からしっかりと対策をしましょう。