防犯に役立つパドロック(南京錠)には数多くの種類があり、広い選択肢の中から、目的に合わせて選ぶことができます。今回は、南京錠の選択時に重要な判断材料となる材質(素材の特徴)にスポットを当て、紹介していきます。
パドロック(南京錠)には、材質によって向き不向きがある
パドロック(南京錠)に使われる素材は、多種多様です。その理由は、それぞれの材質を用途に合わせて生かすためです。たとえば、自在な形に加工しやすい、長期間使っても錆びにくい、工具などで切断されにくい硬度を誇るなどの特徴が、南京錠に反映されます。ちなみに、南京錠を使用する用途(施錠する対象)には以下のようなものがあります。
- スーツケース
- 自転車、バイク
- 倉庫
- 書棚
- スタッフルーム
- トラックの荷台 など
このような用途によって、使用環境や使い勝手など変わってきます。そのため、南京錠を選ぶときにはどのような環境下で使用するか、用途は何かといった条件を考え、それに合った材質のものを選ぶことをおすすめします。
パドロック(南京錠)に使われる材質
それでは、パドロック(南京錠)に使用される主な素材とその特徴について紹介しましょう。
真鍮
銅と亜鉛を混合した合金で、数多くの金属製品に使用されています。その理由は加工のしやすさにあり、南京錠としてもさまざまな形に加工することができます。硬度に関してはやや劣る面がありますが、亜鉛の含有量を増やせば硬度を上げることも可能です。どちらかといえば、屋外環境に左右されない屋内での使用に適しています。
アルミ
アルミの特徴は、軽量で加工がしやすく、腐食にも耐えられるという点があげられます。軽さを生かして身近にあるものに錠をかける用途に向いているほか、多様な形を作ることができる、屋外などの環境下でも使いやすいといったことがメリットです。また、電解着色などの技術で色をつけることができるため、デザイン性を求められる場面やユーザーにも向いているでしょう。
鉄、鉄鋼
ほぼ不純物のない鉄は純鉄と呼ばれ、少量の炭素が化合されているものは鉄鋼と呼ばれます。鉄は加熱すると硬度を増す性質があるほか、他の金属と混合することで硬度・強度などを調整することも可能です。このような加工によって、切断されにくくすることもできるでしょう。ただし腐食しやすいという点は否めません。腐食は、表面にコーティング加工を行うことで、ある程度防ぐことができます。
ラミネートスチール
ラミネートスチールとは、鋼材にプラスチックなどのラミネート加工を行った素材です。これにより、焼き付けや塗装といった加工をせずとも美しい見た目にすることができます。また屋外で使用しても変質しにくく、化学物質による腐食も防ぐことが可能です。南京錠のほかにはサバイバルナイフや食品、洗剤などの容器に使用されることもあり、安全性の面でも優れていると言えます。
ステンレス
ステンレスは鉄に10.5%以上のクロムを混合した合金であり、鉄に比べて錆びにくく耐食性が強いという特徴を持ちます。そして、クロムの混合量が多ければその特性をより生かせるのです。この耐食性の高さはクロムと酸素が反応して皮膜を作るためで、もし皮膜が壊れても自ら再生することが可能です。このような性質から、屋外での使用にも適しています。
チタン
非常に軽量かつ強度の高い材質として知られています。たとえば鉄・鉄鋼と比較すると比重はおよそ2分の1、強度は鉄鋼と同様です。そのため、強度と軽さを求める用途で幅広く用いられています。さらにステンレス同様、表面に皮膜を作ることができるため、腐食しにくい材質でもあるのです。南京錠としては、たとえば海水にさらされるような環境でも腐食せずに長期間使うことが可能です。
ボロンカーバイド
別名は炭化ホウ素。ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素といった硬質な素材に次ぐ硬度を持ちます。この特性から金属の研磨剤や防弾チョッキなどに広く用いられる材質です。その硬度の高さから切断が困難であり、南京錠に用いれば、突破される可能性が低くなります。そのため、南京錠ではシャックル(つる)に使用されることが多いです。上記のように、パドロック(南京錠)に使用される材質には、数多くのものがあります。そして、使用環境や用途によって適した材質は異なるのです。たとえば、スーツケースに使用するなら軽量なもの、建築外装など見た目を重視するならデザインを生かせるもの、屋外での使用なら耐食性に優れているものなどです。南京錠を選ぶには、材質についても注目してみてはいかがでしょうか。