鍵は、外部からの侵入を防ぐためだけのものではありません。一人で外出すると危ない小さなお子様や、徘徊してしまう認知症の方などに対して、勝手に家の外に出ないようにするためのツールとしても役立ちます。ご家族の徘徊の症状でお悩みの方に向けて、徘徊対策としての鍵の活用法についてご紹介します。
徘徊のリスク
認知症が進行すると、徘徊の症状が出ることがあります。家の中を歩き回るだけではなく、勝手に外に出て行ってしまうケースも多く見られます。周囲からは意味もなくうろうろしているように見えるかもしれませんが、本人としては目的をもって行動しているため、抑止するのが難しいとされています。認知症の方が1人で外に出てしまうと、途中で自分の居場所や帰り道がわからなくなって行方不明になってしまったり、交通事故にあってしまったりする可能性がでてきます。特に夜間や、車通りの多い時間帯などは危険です。そのため、介護者側にも心身の負担がかかり、常に注意し続けなければいけない・安心して夜眠れないといった不安やストレスを抱えるケースも見受けられます。そうした状況を防ぐ意味でも、徘徊のリスクを抑えるために、鍵の活用が効果的でしょう。
認知症による徘徊防止策
認知症による徘徊トラブルを防ぐためには、出入口の対策が有効です。鍵といっても、さまざまな種類がありますので、徘徊防止に役立つ、特別な鍵や工夫をもちいて、効果的な対策をおこなってください。
鍵を交換する
玄関には元々1つは鍵がついていると思いますが、室内側のつまみが特殊な形状になっているものなど、徘徊防止用の鍵に交換、または追加設置すると効果的です。内側から開ける際に、介護者の持つ鍵を使わなければ開けられないものや、暗証番号が必要なものなどを使えば、認知症の方が勝手に外に出てしまうのを防ぐことができるでしょう。
チェーンロック部分に、ワイヤーロックやパドロック(南京錠)をつける
玄関ドアに内側からつけ外しができるチェーンロックが設置されている場合は、別の鍵を併せて使うことで、簡単に開けられないように対策することができます。たとえばワイヤーロックやパドロック(南京錠)だと、工具などを使わなくても手軽につけられるので、取り入れやすいかもしれません。
サムターンの交換を行い、鍵を回せないようにする
鍵の追加でなく、元々ついている玄関の鍵を操作しにくい状態にするという方法も有効です。サムターンとはドアの室内側にあるツマミ部分です。ここを簡単に回せないように、サムターンを交換するという手段があるでしょう。これは侵入犯罪対策用としても有効です。
窓にも鍵を追加する
家を出入りできる場所は、玄関だけではありません。窓から外に出ようとする可能性もあります。窓につけられる徘徊防止用の鍵もありますので、出入口となりそうな場所にはしっかりと対策をしておくことが大切です。
外に出られてしまったときの対策もきちんとしよう
家の出入り口に対策をしていたとしても、気付かない間に外に出てしまう可能性はあります。鍵の他にも、人の動きを察知して知らせてくれる装置の利用や、万が一の場合に備えて居場所を簡単に突き止められるようにGPS機能がついた装置を持たせたり、迷子札を服のどこかに付けたり、といった手段が有効です。また、行政や警察が徘徊者のために捜索対策を行っている場合もあります。本人の安全を守るだけでなく、介護者の不安や負担を軽減するためにも、きちんと備えの対策を考えておきましょう。厚生労働省によると、認知症高齢者の数は、2012年で462万人と推計されており、2025年には約700万人、65 歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれています。徘徊対策には色々な種類がありますので、事前にできる対策と万が一に備えた対策の両方の面から、各ご家庭に合わせたものを選択することをおすすめいたします。